広島県の名物といえば、カキやアナゴ、もみじ饅頭… そして全国区の知名度を誇る「広島風お好み焼き」。今回は、このご当地グルメの筆頭でもある広島風お好み焼きと、広島県の内陸部で親しまれている「ワニ」を使った郷土料理を紹介します。
広島県内の飲食店や屋台のみならず、全国各地のお店でもその味を楽しむことができる「広島風お好み焼き」。大阪のお好み焼きと混同されやすいですが、独自の歴史をもち、広島王道のご当地グルメとしてその地位を確立しています!
広島風お好み焼きの特徴は、なんといってもクレープのように薄い生地とボリュームたっぷりの麺。薄く伸ばした生地の上には山盛りのキャベツがのり、それをひっくり返して蒸し焼きに。このキャベツのシャキシャキ感も魅力のひとつで、やや甘めのソースとの相性も抜群! エビやイカ、豚肉、牛すじ肉など、トッピングも豊富にそろっています。
その歴史は、戦後直後まで遡ります。原爆投下により食糧不足に陥った広島県では、「一銭洋食」の屋台が登場するようになりました。当時は、小麦粉を水で溶いて薄く伸ばして焼き、その上に、ネギやレンコンなどの屑野菜を乗せて焼いたものが主流だったそうです。復興が進むにつれて、キャベツや麺を乗せるようになり、現在の広島風お好み焼きの原形ができ、現在では、広島を代表する食のひとつに数えられまでになったのです。
正月や祝い事の席ではもちろん、酒の肴として親しまれているのが「ワニ料理」。ワニといっても、ジャングルなどの湿地帯に棲む「ワニ」ではありません! 広島県で「ワニ」とは「サメ」のこと。
ワニ料理は、冷凍技術のなかった時代に、広島県の内陸に位置する三次市や庄原市などで誕生した郷土料理。備北エリアは海から離れているため、なかなか新鮮な魚が手に入りませんでした。そこで、重宝されたのがサメ。通常の魚は3日ほどしかもたなかったのに比べ、サメは脂質が少なく長期間保存がきくことで、サメを食材にした料理が生まれ地元の人々の間で定着していったようです。
お刺身として食することがポピュラーなワニ料理。うっすら桜色をしたサメ肉は、あっさりしていてとろっとした食感。白身魚にも似ているため、フライなどにして楽しむことも。ワニバーガーやワニ丼、ワニ定食などのバリエーションもあり、スーパーなどでもサメ肉を目にすることができます。