飛行機に乗る時間は国内なら長くても2~3時間程度。海外旅行では韓国やグアムといった近場で3時間前後のフライトですが、行き先によっては長時間のフライトが予想されます。例えば、初めての海外旅行で人気のハワイは約8時間、オーストラリアで約9時間、ヨーロッパ諸国は10時間を超えるロングフライトが一般的です。
飛行機は一度搭乗すると乗り継ぎや到着までほぼ座ったままの時間が続くため、子どもやお年寄り、慣れていない方は目的地に着く前に疲労困憊する場合もあるでしょう。そうならないためにも、機内を快適に過ごす工夫を取り入れましょう。この記事では、長時間のフライトでも機内を快適に過ごせる便利グッズを、以下の4つの目的別にご紹介します。
行きや帰りの道中まで楽しみ尽くして、疲れ知らずの空の旅を目指しましょう!
出発時刻によっては機内で睡眠をとらなければいけないケースがあります。
「慣れない環境や周囲の騒音で眠れなかった」とならないためにも、快適な睡眠に欠かせないグッズを用意しましょう。
飛行機の機内は乾燥しやすく、その湿度は20%まで低下すると言われています。寝ている間はのどを痛めたり風邪などのウイルスを取り入れたりしてしまう可能性もあるため、必ずマスクを持参しましょう。
マスク選びのポイントは、長時間着用しても耳が痛くならず、高い密着性で顔にフィットするサイズを選ぶことです。冬場など乾燥しやすい時期は濡れたガーゼを入れるタイプの濡れマスクもおすすめです。行き帰りや乗り継ぎも考慮して、多めに用意しておくことを忘れずに。
ネックピローがあると首を簡単に固定できるため、快適な睡眠につながります。ネックピローがないと仮眠時に隣の乗客へもたれかかってしまったり、うまく眠れなかったりというケースも多いもの。形はU型で首に巻くものが一般的で、素材はビーズタイプ、クッションタイプ(綿)、エアータイプがあります。荷物を最小限に抑えるなら、膨らまして使うエアータイプがおすすめです。
消灯後、シートをフルフラットにできるならネックピローがなくても眠りやすいですが、1つ常備しておくと起きている時間帯も頭を支えて、肩こり・首こりを防げます。
フライトシートとは、空気で膨らむタイプの長方形座面クッションです。腰から太ももの下に敷くと座面面積を前方に拡大できるだけでなく、太ももの裏にかかる圧を軽減して足を疲れにくくできます。エコノミークラスでも座り心地を良くしたいという方には必需品。腰痛持ちの方も腰の負担を軽減できるため、ロングフライトでは欠かせません。
深夜発の便や長時間のフライトでしっかり睡眠をとりたいとき、アイマスクがあれば周囲の目を気にせず熟睡できます。寝顔を見られることに抵抗がある方はもちろん、光に敏感な方は顔のサイズに合ったアイマスクを用意しましょう。
鼻の周りに隙間が空かないか(着用時に明かりが入ってこないか)、長時間着用しても蒸れにくい素材かといったポイントを重視してください。睡眠と同時に目の疲れを取るなら、温かくなるホットアイマスクもおすすめです。
耳栓は人の話し声や物音など、機内の騒音全般をシャットアウトできる優れもの。日ごろバスや電車で騒音が気にならないという方でも、睡眠時は神経が敏感になることも考えられるため、1セット持っておくと安心です。
また、気圧が変化するような場所(山やトンネルなど)で耳に影響を受けやすい方は、気圧コントロールが可能な飛行機専用の耳栓を選ぶのがおすすめです。
耳栓は完全な遮音効果があるわけではありません。人の話し声や騒音に敏感な方は、イヤホンで好きな音楽を聴き、自分の世界に浸ってしまうというのもおすすめです。耳に差し込むカナル型やインナーイヤーイヤホンは長時間の使用で痛みを感じやすいため、気になる方はヘッドフォンタイプを選びましょう。
飛行機特有の「ゴーッ」というエンジン音を軽減させるには、ノイズキャンセリング機能の付いたイヤホンがおすすめです。
長時間のフライトで気になることと言えば、“座りっぱなし”が原因で起こるむくみやエコノミー症候群。
そもそもむくみとは、同じ姿勢を続けていることが原因で下半身(特に足)に血行不良が生じている状態のこと。長時間座ったままなどで一度血行障害が起こると、血栓ができてしまうエコノミー症候群に発展します。
エコノミー症候群とは、正式名称を「エコノミークラス症候群」といい、医学の世界では「静脈血栓塞栓症」と呼ばれます。足の静脈で作られた血栓は肺など他の器官に詰まると重大な病気に発展することから、長時間のフライトでは決して軽視できません。
「なんとなく危ないと聞いたことはあるけれど……」という方も、この機会にむくみやエコノミー症候群の危険性を再認識し、予防できるグッズを揃えておきましょう。
ふくらはぎは「第二の心臓」と呼ばれるほど血液の循環に欠かせない場所。着圧ソックスで足に適度な圧力をかけると、座りっぱなしによる血行不良を予防できます。女性向けの商品が多く販売されていますが、飛行機利用時のむくみ予防を目的とした「フライトソックス」なら、男女兼用のため男性も着用可能です。
足の位置を高く保つことでむくみやエコノミークラス症候群を予防できます。飛行機内で使えるフットラックには、前の座席に吊り下げてハンモックのように使用するタイプや床置きタイプがあります。吊り下げ式のフットラックは軽量&コンパクトでかさばらないことから利便性が高いと言えるでしょう。
ただし、利用するエアラインによって使用を制限されてしまう場合もあるため注意しましょう。基本的には、離着陸時やベルト着用サイン点灯時を除き、周囲と安全に配慮することで使用できます(※)。
※機内でフットラックを使用する基準については航空会社によって異なります。詳しくは利用予定の航空会社へお問い合わせください。
ボディクリームやマッサージ用のアロマオイルを持ち込む方も多いほど、長時間のフライトは足に疲れが溜まるもの。ツボ押しやマッサージローラーがあると手軽に足をマッサージできるのでおすすめです。LCCなどであまり自由に動けるスペースがない場合は、温湿布を貼って足を冷やさないようにすることもむくみ予防につながります。
長く座ったままで身動きが取りにくい機内環境は、慣れていない人ほど辛く感じるもの。少しでもリラックスした状態で目的地までの時間を待つなら、以下のようなグッズを取り入れてみてはいかがでしょうか?
ブーツやスニーカー、パンプスなどの圧迫をなくしてリラックスするためにも、スリッパは欠かせません。折りたたみ可能なスリッパなら荷物になりにくいですが、3時間を超えるような長時間フライトでは、多少かさばったとしてもクッション性があり蒸れにくいものを選んでおくと安心です。
立ち上がって移動する際や緊急時を考慮したい方は、スリッポンやクロックスなどなるべく締め付けのない靴・サンダルを選びましょう。スリッパやスリッポンは機内で足を楽にするだけでなく、むくみやエコノミークラス症候群の対策にも有効です。
飛行機の機内温度は22~26しかし薄着で過ごしやすい夏場や睡眠時は「思っていた以上に寒い」と感じるケースが多く、じっとしている分、寒さによるストレスが大きくなります。上着を用意しておくと防寒対策&快眠に有効なためおすすめです。
また、LCCはブランケット貸し出しNGなケースもあるため注意してください。小さめのブランケットを持っておくと、丸めて枕やクッション代わりにも使えるのでおすすめです。
夏場の移動や睡眠後は多くの汗をかいてしまうもの。汗拭きシートは長時間のフライトでさっぱりしたいときに重宝します。メントール成分や香料が苦手な方、小さな子どもと一緒の方などは、アルコールフリーの純水ウエットティッシュでも代用可能です。
ドライシャンプーとは、水を使わずに頭皮の皮脂や汚れを取り除ける優れもの。日本では主に災害時や介護・医療の現場で活用されますが、飛行機に持ち込めば空の旅の快適性を高めてくれること間違いありません。ドライシャンプーには、
といった異なる種類があります。飛行機に持ち込む際は、素早く使用できて手荷物検査で気にせずに済むシートタイプがおすすめです。
次に、空いたフライト時間を有効活用するのにおすすめのグッズをご紹介します。長時間のフライトも旅行の一環として楽しめるよう、退屈しないで済むグッズを準備しておきましょう!
タブレット端末があると、以下のようなことが可能です。
機内には映画視聴用のモニターが設置されている場合もありますが、「小さいうえに観たい映画がない」というケースも多いもの。あらかじめ気になる映画やドラマをダウンロードして保存しておけば、フライト時間を有意義に過ごせます。読みたい記事や書籍なども、オフラインで読めるようにアーカイブ、ダウンロードしておくのがおすすめです。
スマホスタンドには大きく分けて、
の4種類があります。機内に持ち込む際は、かさばらず倒れにくいものを選びましょう。少しの振動で倒れるような不安定なものは周囲の迷惑にもなりやすいため不向きです。軽量&コンパクト、角度調整ができる、縦置き・横置きが自由自在のものは機内で重宝します。
読書が好きな方はまとまった時間で文庫本を堪能するのもおすすめ。ロングフライトなら休憩を挟みながら一冊読み終えることも可能なため、完読後の満足感も大きいでしょう。読書が苦手な方は現地の情報が載っているガイドブックやトラベル本、語学本で旅の予習をするのもおすすめです。
旅先で撮った写真や動画を取り込んで編集するなど、渡航時間を活用して作業を行いたいという場合はノートパソコンがあると便利です。近年では機内Wi-Fiサービスを提供している航空会社も増えてきたため、利用する航空会社によっては簡単なネット作業も行うことが可能です。
ただしノートパソコンの予備バッテリーや充電器は機内持ち込みの制限が掛けられている場合もあるため注意してください。機内に持ち込みできるモバイルバッテリー容量については、以下の記事も参考にしてください。
長時間のフライトを快適に過ごすためのアイテムを、「睡眠」「エコノミー症候群」「リラックス&リフレッシュ」「暇つぶし」の4つの目的に分けてご紹介しました。
長時間のフライトは、目的に合わせたグッズを上手に取り入れることで快適に過ごせます。エコノミークラス症候群は重篤な病気につながるリスクもあるため、「自分は大丈夫」と思わずにしっかり対策を行うことがおすすめです。
目的地に到着してからスケジュール通りの行動をとるためにも、便利グッズを活用した体調管理や疲労対策を行っておきましょう!