海外旅行の準備をしている最中に「税関」という言葉を目にしたことがある方は多いと思います。
この記事では、空港で税関を通るタイミング、税関で気を付けることをご紹介します。
税関とは、国境や港・空港など、人や物が国を越えて出入りする交通の要所に置き、貨物や携帯品・船・航空機の取締や関税の取り立てなどを行うための場所です。
持ち出しや持ち込みをチェックし、関税のかかるものに対して税金を徴収することと、持ち出し・持ち込みの禁止されているものをその場で没収したり、密輸などを取り締まったりする役割があります。
基本的に、入国時の検査はスーツケースをX線検査機に通すなど厳格な検査が行われますが、出国時は機内に持ち込めないもの、持ち出し禁止のものなどを持っていなければ、それほど厳しい検査をされたりしつこく聞かれたりすることはありません。
ただし、腕時計・ネックレス・指輪などの外国製品(主に100万円以上するようなハイブランドの腕時計や指輪など)を持っていたり、総額100万円を越える現金を持って日本を出国する時にはあらかじめ手続きが必要です。
これらの品物には関税がかかるため、帰国する時の入国審査でもともと使用していたものだと証明できなければ輸入物とみなされ、関税を支払わなくてはならなくなるからです。
また、現金を大量に持ち出すことは、マネーロンダリングなどの国際犯罪に関与している可能性があるとみなされ、厳しいチェックがされます。また、海外で多額の現金を持ち歩いていると犯罪やトラブルに巻き込まれやすくなります。
どうしても必要な場合以外は、多額の現金を持ち歩くことは控え、クレジットカードを利用するのがおすすめです。また、必要な場合はきちんと書類の提出を行いましょう。
それでは、具体的に出国時・入国時の税関手続きについて見ていきましょう。
日本出国時には、空港またはオンラインでチェックインを行い、搭乗券を発券したら手荷物検査(保安検査)を行います。保安検査で問題がなければ税関検査を行い、税関検査でも問題がなければ出国審査をして、飛行機に乗るという順番です。
税関検査では、前章でも紹介した通り、持ち出す品物によって申告の書類を書きます。
持ち出す物 | 出すべき届 |
腕時計など、高額な外国製品 | 外国製品持出し届 |
100万円(または相当額)を超える現金や小切手、約束手形、有価証券など | 支払手段等の携帯輸出・輸入申告書 |
輸出免税物品 | 輸出証明申請書 |
輸出免税物品とは、外国人旅行者などその国に住んでいない人がある品物を買う時、消費税が免除される品物のこと。つまり、腕時計や現金などの「外国製品持出し届」「支払手段等の携帯輸出・輸入申告書」はそもそも自分が持っていたものを旅行に行く前に持ち出す証明をするもので、「輸出証明申請書」は旅行先の国で買ったお土産などを持って帰りたい時に提出するものです。
このとき実物を見て確認する必要があるため、申告したものをスーツケースに入れて預けてしまわないように注意しましょう。もし、フライト中は申告したものをスーツケースに入れておきたいという場合は、税関のチェックが終わってから預けましょう。
日本入国時の税関手続きでは、飛行機を降りたら検疫検査(病原菌や有害物質の検査)を行い、次に入国審査を行います。その後、動植物を持ち込む場合は動物検疫・植物検疫を行い、最後に税関検査を行って入国が許可されます。
入国時の税関検査でも、もちろん申請書が必要となります。主に以下の3つです。
持ち込むもの | 出すべき届 |
携帯品 | 携帯品・別送品申告書(1枚) |
別送品(海外から送った荷物) | 携帯品・別送品申告書(2枚) |
100万円(または相当額)を超える現金や小切手、約束手形、有価証券など | 支払手段等の携帯輸出・輸入申告書 |
海外に物を持ち出す時よりも、海外から物を持ち込む時の方が厳しく審査されます。これは、不正に違法なものを持ち込もうとする「密輸入」を防ぐための措置です。このため、日本の入国時の税関では、入国(帰国)する全ての人に対して携帯品・別送品の申告書を提出することが義務づけられています。
携帯品(手荷物やスーツケースとその中身)に関しては、海外で購入した・しないに関わらず、全ての人が申告する必要があります。また、海外で購入したものを日本国内に送る場合は、この申告書を2枚記入し、税関で確認印を押してもらった後、1枚を控えとして保管しておきましょう。受取り手続きの際に必要となります。
また、輸入の際の免税範囲(成人1人当たり)は以下のようになっています。
分類 | 量 |
酒類 | 1本760mLのものを3本まで |
紙巻(たばこのみ) | 日本製・海外製を問わず200本まで |
葉巻(たばこのみ) | 50本 |
香水 | 2オンス(約30mL) |
その他 | 渡航先の市場価格で合計20万円まで |
この範囲を超えた品物は、その種類に応じて税金が徴収されます。
日本に帰国する際の入国手続きでは、もちろん日本語で手続きできますが、海外旅行に行った時、英語で検査を受ける場合があります。そこで、入国時の税関手続きで使える英語をご紹介します。
税関では、スーツケースを回収してX線検査機に通し、中身のチェックを行います。持ち込みが禁止されているものや申告が必要なものがあれば、ここで没収となるか、申告を行う必要があります。その際、たいてい聞かれるのがこの言葉です。
英語:Do you have anything to declare?
読み:ドゥ ユー ハヴ エニスィング トゥ ディクレア?
邦訳:何か申告するものを持っていますか?
こう聞かれたら、持っているかいないかで以下のように答えましょう。
英語:Yes, I have some〜/No, I don’t.
読み:イェス、アイ ハヴ サム 〜/ノゥ、アイ ドント
邦訳:はい、私は〜を少し持っています/いいえ、持っていません
「〜」の部分は、自分が持っているものを説明しましょう。例えば、たいていの国で、食べ物を持ち込む時は申告する必要があります。そこで、食べ物に関する英語も確認しておきましょう。特に、日本食で海外にはあまりないものの場合、しっかり英語で説明する必要があります。
日本から持っていくことが多い食べ物の英語名を覚えておきましょう。
レトルト味噌汁:instant miso soup
ふりかけ:rise seasoning
お茶漬けの素:seasoning for rice soup
梅干し:dried plum
カップラーメン:instant noodles
もちろん、これら以外にも不審物と判断されたものがあった場合、自分の持ち物を英語で説明する必要があります。そこで、持って行くものは一通り英語名を調べたり、英語でどうやって説明するのかを調べておくと良いでしょう。
また税関での持ち込みや持ち出しのリミットについては、その国個別のルールが設けられており、日本のルールとは異なることがありますので、しっかりと出入国前に確認をしておく必要があります。
それでは日本の空港内の税関を通る際に覚えておきたい項目を、おさらいしてみましょう。
・腕時計等の外国製品
・100万円相当額の現金等
・輸出免税物品
・携帯品(全ての人に該当)
・別送品がある方(渡航先から荷物を送る場合のみ)
・100万円相当額の現金等
・実物を見て確認する必要性もあるので、スーツケースに入れて預けないこと
・海外の税関で英語で聞かれた際の説明ができるよう準備しておくこと
・各国によって空港内の関税のルールは違うので、海外に行く際にはその国の税関について事前に確認しておくこと
日本の税関を通る際の注意点をご紹介しましたが、いかがでしたでしょうか?上記の項目を忘れずに、出国や入国の際にスムーズに通ることができるように気をつけましょう。